円だけを信じてはいけない

円だけを信じてはいけない

「身近にいる外国為替証拠金取引の名人は?」と聞かれたら、「W夫クン」と即答できる。W夫クンは、中学時代の同級生F美の夫だ。誰でも知っている大手企業勤務で現在は上海に海外赴任中。ただでさえ高給とりなのに海外手当もつくから、F美は上海マダム生活を満喫している。

その上、W夫クンの趣味は「財テク」だ。外国為替証拠金取引、通称FXのみならず「財テクの名人」といえるだろう。いや、すでに「達人」の域に達しているかもしれない。私もFXに挑戦することにした。

最初は、正直いって全然、仕組みが理解できていなかった。OL時代に、やはりY美の勧めでメキシコだかどこかの外貨預金をしたことがあり、7%だか8%だかの金利で、お小遣いを稼ぐことができたので、FXもそういうものなのかと思っていたら微妙に違っていた。証券会社に預けた資金で外国のお金を売り買いして、為替差益と金利を得るものだよと、W夫クンが説明してくれた。しかも外貨預金と違って、円の「売り」「買い」どちらもOKなので、円安でも円高でも対応できると聞いて、一気に関心が高まった。



    彼は説明が素晴らしく上手い。経済音痴の私に、すんなりわかるように、かみくだいて教えてくれる。「難しいことをわかりやすく伝える」腕を持つには、彼自身が相当、FXを理解していないとムリだろう。

    今、日本は超低金利だから、銀行に定期預金などをしても、ほとんどお金は増えない。しかも、銀行が潰れる時代でもある。だから、低金利の円を売って、低金利でない国のお金、つまり外貨を買い、その金利差で稼ぐのがFXの醍醐味なのだそうだ。

    円だと限りなくゼロに近い金利も、世界にはまだまだ、とんでもない高金利国がある。混沌した世界情勢の中で、円だけを信じてはいけない、とW夫クンは言う。

    上海と日本で離れていても、ネットがあれば近くにいるのと変わらない。Y美を通してベストのタイミングで連絡をくれるし、ネット取引なら24時間OKだ。W夫クンいわく、「お小遣いが足りなくなったなと思ったら、ちょちょっとFXをすればいいんだよ」。さすが、名人の言葉は深い。これからも、がんがんアドバイスをもらって、私もFXの名人を目指したい。

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